全裸で出会った君と僕
- たけうちてつや
- 2020年7月1日
- 読了時間: 5分
先日、久しぶりに銭湯へ行きました。
露天風呂に浸かっていると、コガネムシが溺れているのが目に入りました。
無視できない・・・・!
指を差し伸べると、まさに藁にもすがる勢いでガシッと掴まってきました。
周囲を見渡してもコガネムシが安心できそうな場所(草木など)がありません。
僕はいったん脱衣所に戻り、ロッカーの中にコガネムシを入れました。(!?)
そしてゆっくりとお風呂を堪能したあと、おそるおそるまたロッカーを開けると、なんとコガネムシの姿が見当たりません!!
出口なぞどこにも無かったはずだぁぁああ!!
不思議に思いながら体を拭き、服を着てリュックサックを背負おうとしたら、リュックの紐にいました!!外出準備万端かよー!!
僕は風呂上りのカフェオレ(瓶のやつ)を飲みながら、畳の上でコガネムシをじっくり観察しました。
その銭湯のロビーには畳ゾーンがあるんです。
まだその時はカナブンなのかコガネムシなのか分からなかったので、
スマホで調べては実物をジロジロ確かめて、こいつはコガネムシだという結論に至りました。
さて、お別れの時です。
銭湯の玄関を出て、てきとーにそこらの植木にコガネムシを逃がすことに。
し、しかし、なかなか指から離れてくれません。
「おまえ・・そんなに俺と離れるのが嫌なのか・・・??
そうか・・・俺がいなかったら今頃溺れ死んでるもんな、うんうん。かわいいやつめ」
僕はコガネムシを飼うことにしました。
コガネムシの食べ物は葉っぱだと調べはついていたので、
チャリで帰りながら美味しそうな葉っぱを探しました。
そこら中に生えてるただの葉っぱが、こんなに価値のあるものに見えたのは初めてです。
お宝ザックザクだーーーーっっ!!!!!
プチっと小さな葉っぱを千切って、調達完了!
この間、コガネムシは大人しくリュックに掴まったままでした。
というか死にかけてたので相当弱っていたと思われます。
帰宅し、リュックを机に放置していると
いつしかコガネムシがもぞもぞと動き始めました。
お!元気が戻ったのかな!?
ん・・・?やけにもぞもぞしてるな・・・・どうしたんだ・・・・??
バサッッ!!!
ブウウウウウウウーーーーーーンン!!!!!!!!!
ひ、ひいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!
部屋の中を縦横無尽に飛び始めたああああああああ!!!!!!!!
羽音がすげえええ!!!こっっうぇえええええ!!!!!(怖)
車、人、鳥、風などの音に満ちた外と比べて、部屋の中は静かなものです。
そんな空間で初めて聞いた虫の羽音は大迫力でした!!
しかも止まってくれないーーーっ!!!!天井の電気にぶつかっては遠ざかり、ぶつかっては遠ざかりを永遠に繰り返しているーーーっ!!!
僕は角でうずくまりました。大袈裟に言ってるんじゃなくてガチで。
やっとコガネムシは飛ぶのをやめてくれました。
電気の蓋の裏に隠れちゃいました。
よし、とりあえずもう晩いし、このまま寝よう。
電気を切ってベッドに横たわった5分後・・・
また
ブウウウウウウウーーーーーーンン!!!!!!!!!
ひぎゃああああくああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!
真っ暗闇で飛ばれたら、より怖いいいいぃいいいい!!!!!!!!!
慌てて電気をつけ、また止まってくれるのを待ち、
今度はちゃんと捕獲しました。
コガネムシは、危険を感じると硬直するようなのです。
だから、指で掴むのは簡単なのです。
も、もう大人しくしてくれ・・・・!
僕は虫かごにそいつを入れました。
え・・?
なんで大人の僕が虫かごを持っているのかって?
それは、ポケモンのモンスターボールのデザインをした丸い虫かごに一目ぼれして、
前にジ・アウトレットで買っていたからなのであります!
何のために買ったかというと、路上ライブの投げ銭入れに使おうと思って!
実際一度試してみたんですけど、通りゆく人たち、みんなモンスターボールばっかり見て僕の歌に耳を傾けてくれなかったので、やめにしました。
それ以来埃をかぶっていたんですけど、ここにきて本来の目的「虫を住まわせる」が出来るとは!・・・・コガネムシ、GETだぜ!!!!
虫かごに入ったコガネムシはそれでも飛ぶことをやめませんでしたが、
いーーーひっひっひ、その狭い空間で暴れても全然こっちは怖くないんだよおお!!!!!
あ、そうだ。調達した葉っぱも入れておこう。
あれ、あまり興味を示してないぞ・・・、まぁいいか!
コガネムシと僕は一夜を共にしました。
翌朝、虫かごを覗くと葉っぱの面積が減っていました!
食べていたのです!!
ほんとにそこら辺の葉っぱでも食べるんだ!!
なんか、不覚にもすごく感動しました。
コガネムシは眠っているのか、じっとしていました。
でも少しするとまたもぞもぞ動き出して、羽音を立てはじめました。
虫かごのせまーい隙間から、なんとか外に出ようともがいています。
窓から差し込む朝の陽ざしが相当、恋しいのでしょう。
無理無理!!無理なんだよーーー!!!!あーーーはっはっはっは
とは言いつつもやっぱりかわいそうに思えてきた僕は、
放してやることにしました。
ベランダに虫かごを蓋を開けた状態で放置!
部屋の中から窓越しに観察!
あ・・・・出てきた・・・・
・・・・・
ブウウウウーーーーン!!!
あーー!!飛んでったーーーっ!!!!!
バイバーーーーーイ!!鳥とかに気をつけろよーーーーー!!!!
こうして、僕とコガネムシの数奇な物語は幕を閉じたのです。
あぁ・・・なんだか寂しいな・・・
いつか鶴の恩返しみたいに、美女に化けて現れてくれやしないだろうか・・・。
「あの時助けてもらったコガネムシです」なんて・・・。
「また一緒にお風呂に入りましょう」なんて・・・・う・・・うふふふふうううふふふう
ぉおっと、失礼!
ってかお前溺れてたろ!(笑) 妄想に溺れちゃってる奴もいるけど!
冗談はさて置き、
この出来事を忘れたくない僕は、コガネムシの食べた跡が残る葉っぱを写真に遺しました。

この画像があれば、「ほら!あの時の!!!」って証拠に使えるじゃないですか!!
あ、これは擬人化したコガネムシが一時的に記憶を失っていた場合ですけどね!!?
っていうかメスだったのか・・!?
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